CONCEPT

オープンデッキの家設計趣旨

20006月住宅品質確保促進法がいよいよスタートしました。
そのポイントは
構造・耐火・耐久・維持管理・省エネルギー・室内環境・バリアフリー等の性能確保と向上にあると言えます。もちろん住宅の価値は性能評価の側面だけで捉えることは出来ません。ただ設計者の職能として当然配慮されるべき基本項目と言えます。性能面の評価軸を一言で言えば快適性になるでしょう。この概念は非常に広く、人の五感、感性、心理等も含まれてきます。地域環境,敷地環境,住まい手,コストなど個々に違う与条件をあらゆる側面からのバランスを考慮し如何に快適で空間性豊かな建築として結実し得るか。そうした総合的な評価軸から、この住宅を再チェックしてみます。
 まず地域環境としては三浦半島の丘陵地で比較的温暖な地域です。風致地区の指定区域ですが近隣に民家が建て込んでいて景色は見通せません。敷地の南東側に広めの駐車場がありオープンスペースとなっていて施主はそこから出入りをしていました。この南東側にオープンデッキを設ける事からプランは始まりました。採光、通風、近隣との交流等の面から南東側を開放することが敷地環境から見て最良の配置計画であると直感したからです。そのオープンデッキに連携して主居室を設け、かつ動線が周遊出来るよう計画しました。主居室には団欒の中心として畳台を置いてあります。周遊動線に沿って水周りの諸室を配置しました。階段は子供が主居室を通ってから上がれるよう、居間の吹き抜け空間に設けています。2階には個室がありますが、南北方向に長く配置させ、北側の民家への日照に配慮しました。オープンデッキから光や風と子供たちが走り回る開放的なプランとなりました。
 設備機器は建築主が住機販売会社に勤務されてますので直納入とし、特にバリアフリーユニットバスが手頃な価格で設置出来ました。バリアフリーの仕様としましてはフラットフロアは元より手摺、センサー付照明、階段の踊り場設置に至るまで徹底しています。又、窓ガラスの清掃は総て室内から出来るようになっています。構造は木造在来ですがコスト面からプレカット工法を採用し屋根外壁面及び1階内壁面を構造用合板として面剛性をとり筋交いを必要充分に配置してあります。居間四方の大梁を化粧梁とし外部のデッキまで連続させて一体的な空間構成を成しています。
 外壁、屋根は
ウレタンフォーム裏打ちガルバリウム成型鋼板で基礎も換気孔を設けずウレタンフォーム打込とし、更に、屋根裏・外壁裏に現場発泡ウレタンを吹付けて外断熱・高気密仕様としています。ガラスは単層ですが内部建具, カーテン等でコールドドラフトを防いでいます。その結果,暖房時は内部全体が直ぐ温まり冷めにくいという室内環境となりました。また吹き抜けに設けた暖気循環ダクトは無用となりました。平面的、断面的に通風を考慮しているので夏場も木陰のようで冷房は殆ど使用していません。天井裏、軸組内、床下も含め、室内を永続して計画換気しており、外断熱の仕様と合わせて、壁内結露が起きない仕様となっています。在来木造で50年以上の高耐久仕様を目標としました。

BACK
NEXT
.